◎かつて、湯を沸かす道具といえば、日本の台所でその役割を担うのは鉄瓶でした。鋳物の揺るぎない存在感が、近年、モダンなリビング、ダイニングで再び注目を集めています。
◎産地は、南部鉄器のふるさと・岩手県水沢。奥州平泉の時代から受け継がれてきた鋳物技術で製作されたのが「水沢姥口〈うばぐち〉」です。姥口とは、茶の湯の釜の形状のひとつ。丸く盛り上がった独特のフォルムが特徴的です。
◎底面は広くフラットで、安定感は抜群。注ぎ口は、シャープな水切れです。墨色の表面は、鋳造後に行う「釜焼き」で生まれた酸化皮膜に加え、さらに茶渋液と椿油を塗って「油焼き」を行うことによって醸されたもの。時間をかけて使い込むと、さらに色合いが深まります。
◎鉄瓶といえば、錆を心配される方もいるでしょう。錆が生じるのは、表面に水気が残ったとき。沸かした湯は都度出し切り、蓋を開けて中の湯気を逃してください。もし生じても、緑茶の茶葉(使用済みのものでも可)を入れた水を火にかけてしばらく煮沸し、よく乾かすと、もとの黒色がよみがえります。さらに、使うたびに生じる湯垢が、皮膜となって内部を守ります。
◎鉄瓶で沸かした湯には、塩素の減少だけでなく鉄イオンが豊富になることも立証されました(※)。健やかな生活のために、この美しく堅牢な道具を日々、ぜひお役立てください。
*価格は税別です。
*容量は、満水時の数値です。
※「水沢姥口鉄瓶」に、1リットルの水を入れて沸騰させる食品検査を実施したところ、
・沸騰前に0.03㎎/L未満だった鉄が、沸騰直後には0.06㎎/Lに増加。
・沸騰前に0.38㎎/Lだった遊離残留塩素が、沸騰直後には0.05㎎/L未満に減少。
上記の検査結果が出ました。
試験実施機関 一般社団法人 岩手県薬剤師会検査センター
食品検査結果書 第12-05411- 01号 平成25 年3月15日