◎真鍮。黄銅とも呼ばれる、銅と亜鉛の合金です。五円硬貨の材料として知られますが、歴史は古く、日本では平安時代にはすでに製造が始まっていたことが、近年の研究で明らかになりました。
◎適度な硬さで加工しやすく、耐久性に優れた真鍮。この素材で、暮らしになじむシンプルなお盆を作りました。
◎美しいリム(縁)の立ち上がりは、「へら絞り」という職人技の賜物。金属の板を型に固定して回転させながら「へら」と呼ばれる棒で型に押しつけて成形していく手法です。へらの角度のつけ方、力の入れ具合など、さまざまな面で熟練の技術が要求されます。
◎真鍮そのままの色合いを生かしたものと、銀めっきを施したものの二種類。新品はそれぞれ金色、銀色ですが、使用につれて、酸化、硫化作用で色が鈍くくすみ、陰影のある色合いに変化します。とくに銀メッキのものには、手や器などがよく触れる箇所に「アタリ」と呼ばれる、独特の風合いが表れます。
◎使った後は柔らかい布で乾拭きを。時がつくる翳りを含めて、世界にひとつのお盆の表情を育ててください。
*寸法、容量、重量の数値は個体差があります。