◎散った蓮の花びら、その一片のかたちからついた名だといわれます。ご飯やスープ、おかずを掬うのに便利なこの匙は、アジア各国の食卓の定番。さまざまな素材で作られています。
◎日本の食卓や食に合うように、伊賀焼の散蓮華を作りました。琵琶湖の湖底であった三重県・伊賀地方は、良質な粘土の産地。その土を練り、型打ちと呼ばれる方法で成形しています。
◎古い時代に作られた散蓮華は、底に突起のついたものが多く見られますが、口当たりをよくするため、なくして滑らかに。掬いやすく口に含みやすい大きさにもこだわりました。食卓に置いて自立するのもうれしいところ。持ち手の先の独特の形状は、花びらにとまった蝶をイメージしています。
◎表情の決め手となる5 種類の釉薬も、土と同じ伊賀産です。艶やかな美しさが際立つ黒飴、土の味わいが素直に表れた石灰、深い緑が印象的な織部、温かみが宿った志野、複雑な風合いに独特の表情が浮かぶ松灰。サイズは小さくとも、土の豊かさ、そして職人仕事の手のぬくもりを感じさせる品です。
◎土ものの和食器とは、もちろん好相性。汁物の碗に添えれば使いやすく、秋から冬には、鍋料理のたびに出番があるでしょう。使用前には、米のとぎ汁を入れた鍋に入れ、10 分ほど煮沸して「目止め」を行ってください。表面にできたでんぷん質の膜により、汚れや匂いがつきにくくなります。
*寸法、容量、重量の数値は個体差があります。