◎朝食のコーヒー。午後のティーブレイク。夕食後のお茶。自分の普段使いから気のおけない来客用まで、マグカップは日常に欠かせない器です。ポピュラーな器だけに、自分だけの一個にめぐり合うのは至難の技。規格を揃えて大量生産された品よりも、手をかけて作られた不揃いの器に惹かれるのは、私たちの内なる欲求を反映しているからかもしれません。
◎東京・青梅で作陶する陶芸家・上泉秀人さんの作るマグカップは、ひとつひとつが見るからに魅力的。瀬戸の土に青梅の土を加えて練った粘土からろくろで生みだされる形は、大小、口径もさまざま。それぞれに表情があり、独特の愛嬌ある佇まいで、見るものを引きつけます。
◎表面には、彫刻刀でしのぎと呼ばれる溝をつけたり、面取りをしたり、あるいは呉須でストライプを描いたりと、さまざまな細工が施されます。さらに魅力的なのが、絶妙なバランスで取り付けられる把手。持ちやすさが計算されているのはもちろんのこと、カーブの仕方や溝のつき方もそれぞれ異なり、それによってマグカップの個性が決定づけられるのです。
◎丸みのあるキュートなもの。スッとしてハンサムなもの。温かみを感じるもの。スマートなもの。シンプルですが、日本茶に紅茶、コーヒーに中国茶、ホットミルクまで、どんな飲み物もしっくりと掌に収める、懐の深い器です。ぜひ手にとって、お好みの一個を選んでください。
*寸法、容量、重量の数値は個体差があります。